February 1, 2011

ルイ14世のブルーダイヤモンド

世界的に有名なダイヤモンドの中でも、今回はルイ14世が所有していた「diamant bleu de la Couronne(王冠の青)」もしくは「Bleu de France(フランスの青)」と呼ばれるブルーダイアを紹介したいと思います。

Jean-Baptiste Tavernier
太陽王ルイ14世↑
1668年に、探検家 Jean-Paptiste Tavernier (ジョン=バプティスト•タヴェルニエ)がフランスにいくつかのダイヤモンドの原石をインドから持ち帰ります。その中でも最も大きな物の重さは現在の単位でいう115,16カラット もあり、その当時知られていたダイアモンドの中では最も大かったということになります。
1671年に太陽王ルイ14世がそのブルーダイヤをタヴェルニエから買い取り、自分の輝かしさにふさわしいカットをほどこすようにと、王室お抱えのジュエリー職人であった Jean Pitau (ジョン•ピトー)に命じます。そして2年の月日をかけて、Pitauはこのダイヤを美しく完璧にカットすることに成功します。

ルイ14世はこの様にして生まれた「diamant bleu de la Couronne(王冠の青)」を儀式用のスカーフに施して身に着けていました。





 ←左の写真は、アメリカ合衆国でScott Sucherによって再現された「diamant bleu de la Couronne(王冠の青)」の実物大レプリカ。ジルコニア製。









ルイ15世↑

1749年、ルイ15世は ジュエリー職人のPierre-André Jacquemin (1720-1773) に「diamant bleu de la Couronne(王冠の青)」を自分の金羊毛騎士団(Ordre de la Toison d'Or,)の勲章として作り直すように命じます。

右に描かれているのがその金羊毛騎士団の勲章。(Lucien Hirtz、1889)

1792年の9月、この豪華な勲章と共に、王室の重要な宝石がごっそりと盗まれてしまいます。
その中のいくつかの宝石は再度回収されたものの、この「王冠の青」の入った金羊毛騎士団の勲章を始め、多くの宝石はそのまま失われてしまいました。



その事件から20年経った頃、調度、この件が時効になった頃に英国に45,5カラットのブルーダイアモンドが登場します。そしてこのブルーダイアを最初に所有することになったHenry Philip Hopeの名前を取って、このダイアは「Hope」と呼ばれるようになります。その後、Harry Winston氏が1958年にワシントンのスミソニアン博物館に寄贈するまで所有者を転々と替えていきます。

さて、この「Hope」は果たして「王冠の青」を再研磨して生まれたのでしょうか。
しかし「王冠の青」に関する資料は乏しく、 唯一参考になるのはLucien Hirtzの残した図のみ(上図)で、決定的な証拠を出すのは非常に困難な作業でありました。

そんな中、2007年、パリ国立自然史博物館の鉱物標本コレクションの中から、「王冠の青」を実物大で忠実に再現した鉛製のレプリカが発見されます。この発見によって、「王冠の青」がこれまで想定されていたよりもずっと美しくカットされていることが分かったと共に、スミソニアン博物館所蔵の「Hope」が「王冠の青」を再研磨したものであるという証拠を掴むことができたのです。
「王冠の青」の鉛のレプリカ
「HOPE」は「王冠の青」の中にぴったり収まる










ここでちょっとルイ15世の金羊毛騎士団の勲章に話を戻してみましょう。 この勲章には「王冠の青」以外にも、「Bazu」という名前の淡いブルーの32カラットあるブルーダイア がこの勲章を飾っていましたが、このダイアは1792年の盗難後は現在でも行方不明のままです。
また、下部にぶら下がった金色の羊に留められた黄色の石は、112個のダイアモンドを黄色に塗ったもの、「Côte de Bretagne(ブルターニュの沿岸)」という107,88カラットもあるスピネルを彫って作られた真ん中の赤いドラゴン、そのドラゴンが吐き出す炎を表したピンクの石は、84個のダイアモンドを赤く塗ったもの、そして「オリエントのトパーズ」と呼ばれた3つのイエローサファイア、 4~5カラットのダイアモンド4つ、そして282個のダイアモンドが全体を飾っています。

なんとも豪華なこの勲章ですが、それを色つきで描いたものは残っていませんでした。
そこで2008年にMonney, Horovitz et Farges によってガッシュで再現された後(左図)、さらにジュエリー職人のHerbert Horvitzとパリ国立自然史博物館の研究者であるFrancois Fargesが共同でこの勲章の再生し、2010年の6月30日に完成作品を発表しました。(右写真)



なんとも美しい形であった「王冠の青」が、盗難を隠す為に地味な楕円形にカットされてしまった!と思うとなんだかガッカリ。もったいない~!
こんなに大きいダイアを留める機会は一生訪れないかもしれませんが、私なりのアプローチでお客様ひとりひとりの小さな歴史のほんの1部分を飾れるような素晴らしいジュエリーを作りたい、なんて思ってしまいます。


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